社長が退職金をもらう時の3つのメリットと注意点とは

退職金をもらう時_コラム
退職金も税金の世界では超優良児です。

退職金には、社長が受け取った際に納めるべき税金を減らす上で、3つのメリットがあります。

まずは、退職所得控除という制度の存在です

退職金の額面全額に税金が課されるのではなく、一定の金額を控除した残額にのみ税金が課されることになります。
仮に残額が発生しないのであれば、税金も発生しないことになります。

では、上記の残額が発生した場合はどうなるのでしょうか

最終的に税率を掛ける金額は、退職所得控除を差し引いた後の残額を2分の1にした後の金額になります。
要するに残額の半分にしか課税されないのです。

更に、退職所得は分離課税になっています

所得税は、いわゆる超過累進税率が適用されるのですが、退職所得は分離課税のため最終的に掛ける税率を決める際に、他の所得とは合算する必要が無いのです。現在のところ所得税は4,000万円を超える所得に対して45%の最高税率が課されます。例えば、いわゆる総合課税の対象となる所得が既に4,000万円以上あったとします。この時に、退職所得が総合課税なのだとしたら、上記の残額の2分の1に対して45%が掛けられることになります。しかしながら退職所得は分離課税ですので、そのようにはなりません。
上記の残額の2分の1に応じた税率が掛けられることになるのです。もちろん逆のパターンも同様です。
仮に、上記の残額の2分の1が4,000万円を超えていたとします。その他に総合課税の対象となる所得があったとしても、その全てに45%の最高税率が掛けられることにはなりません。

注意点もあります

まず、本当に役員を辞めるか、分掌変更といって役員としての地位や職務の内容が激変して実質的に退職したのと同じ状況にならなければ退職金とは認められません。分掌変更と認められる一定の事実については、法人税法基本通達9-2-32に例示されています。また、金額が過大な場合は退職金とは認められません。
そして、適正な金額であっても役員としての勤続年数が5年以下の場合は、メリットとして挙げた2分の1にするということができません。(以下国税庁HPより)
※この記事は、平成31年4月1日現在の法令等によっています。
※この記事は、具体的事項に対するアドバイスをするものではありませんので、具体的な事項については、ご自身で専門家にご相談ください。

【著者プロフィール】金子崇行(かねこたかゆき)|金子会計事務所 所長税理士
1976年神奈川県横浜市生まれ。前職が大手金融機関で、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、AFPの資格を持つ。会計事務所で10年間の実務経験を経て2019年2月に金子会計事務所を開業。日本橋富沢町にオフィスを構える。
「お客様のためになることをやりたい。」をモットーに日々業務に尽力する。
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