相談するなら開業前?開業後? ~税理士とのファーストコンタクト~

税理士に相談するタイミングはいつが良いと思いますか?

ここでは、個人事業を開業・創業する際や法人を設立する際に、税理士に相談するタイミングを考えてみたいと思います。

ファーストコンタクト
実際にご相談頂くタイミングとしては、開業・設立後しばらくたってから、特に決算・申告時期が近付いてからが多いように思います(あくまでも個人的な経験上ですが)。必要に迫られてご連絡を頂いたということかと思います。

ところが、ご相談者様のお話しをお伺いしていると、もっと早くにご相談頂ければと思うケースも多くあります。○○届出書・○○申請書の提出期限が過ぎてしまっていた、年末調整をしていなかった、などなど問題になりかねないことが散見されるケースもあるからです。

例えば、青色申告という言葉をご存知でしょうか。青色申告には特典がございます(個人か法人かなどの違いにより受けられる特典が異なります)。一定の損失や欠損金を次年度以降に繰り越せたり、個人であれば最大65万円の青色申告特別控除を受けたりすることができます。

この青色申告の特典を開業・設立等の初年度から受けるためには、開業・設立等の日から一定期間内に承認申請書を提出しなければなりません。当然、提出期限を過ぎてしまえば、特典を受けることができなくなってしまいます。

また、企業の生存率(廃業率)という言葉があるようです。色々な統計があるようですが、「起業して〇年以内に△△%が廃業している」というような数字を目にすることがあります。

開業・設立後、間も無く事業継続が困難になるほど、資金繰りが苦しくなるケースもあるようです。コロナのような予期せぬ問題はともかく、開業・設立前に専門家にご相談なさっていれば、別の計画を立てることもできたかもしれません。場合によっては、開業・設立しないという選択肢を選ぶことになっていたかもしれません。

もちろん私でなくて結構ですし、税理士である必要もないかもしれません。個人事業を開業・創業する際や法人を設立する際には、一定の専門家などに開業・設立前の計画段階から必要なご相談をなさるのがお勧めだと感じております。
【参照】
国税庁_青色申告制度
国税庁_所得税の青色申告承認申請手続
国税庁_青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
国税庁_青色申告書の承認の申請

この記事は、具体的事項に対するアドバイスをするものではありませんので、具体的な事項については、ご自身で専門家にご相談ください。

【著者プロフィール】金子崇行(かねこたかゆき)|金子会計事務所 所長税理士
1976年神奈川県横浜市生まれ。前職が大手金融機関で、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、AFPの資格を持つ。会計事務所で10年間の実務経験を経て2019年2月に金子会計事務所を開業。日本橋富沢町にオフィスを構える。
「お客様のためになることをやりたい。」をモットーに日々業務に尽力する。
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